出産という人生の大きな選択を前に、「子どもを持ったら仕事をどうする?」という問いに直面する女性は少なくありません。経済的な不安、キャリアの継続、育児への想い、その背景には、社会構造や制度の変化が隠れています。ここでは、最新の統計データをもとに「出産後に仕事を続ける・辞める」という選択の背景を整理し、あなた自身の選択肢を見つけるための視点を提示します。
出産後に仕事を辞めることを迷う理由
出産後の仕事辞めたい想いには、多くの女性が共通して抱える「時間・環境・キャリアの不安」があります。これらは決して“個人の甘え”ではなく、統計が示す構造的な問題でもあります。
- 例えば、雇用形態別に見ると、出産後も就業を続ける女性の割合は「正規職員」で74.4 %、「パート・派遣」で52.4 %という差があります。(参照元:第一子出産前後の妻の継続就業率・育児休業利用状況)
- また、働く女性が「出産・育児期に離職するリスク」を感じる割合も高く、出産・育児をきっかけに仕事を辞めざるを得ないケースは依然として存在します。(参照元:リクルートワークス研究所 出産離職)
このように、「辞めるかどうか悩む」のは、多くの働く女性にとって現実的な悩みです。
出産後も仕事を「続ける女性」が増えている現実
一方で、出産後も仕事を続けてキャリアを維持する女性も着実に増えています。社会や職場での制度整備や意識変化が後押ししています。
- 令和5年度の調査では、男性の育児休業取得率が 30.1 % に達しました。長年低水準だった男性育休の取得が上がってきており、夫の育児参加も少しずつ現実味を帯びています。(参照元:厚生労働省 令和5年度育児休業取得率の調査結果公表、 改正育児・介護休業法等の概要について)
- また、女性の第1子出産前後の就業継続率も、これまで4割前後だったところから50~60%台へと上昇中というデータがあります。(参照元:男女共同参画局 第2節 仕事と子育て・介護の両立の状況)
つまり、辞める選択だけでなく、続ける選択も「可能になりつつある」時代であるということです。
仕事を辞める/続ける──それぞれの選択のリアル
「仕事をやめる」「仕事を続ける」どちらにもメリット・デメリットがあります。大切なのは、あなた自身と家族にとってどちらが“最善の選択”かを考えること。
① 仕事をやめる選択
メリット:
・子どもの成長を身近に見られる
・育児・家事に専念できるため、時間的・精神的なゆとりが生まれる場合も
デメリット:
・再就職が難しい可能性、収入が減るリスク
・社会との関わりが減ることで孤立感が出ることも
② 仕事を続ける選択
メリット:
・収入を維持・キャリアを積める可能性
・自己実現や社会との接点を保てる
デメリット:
・時間的・体力的な負担が増える可能性
・育児・家事に対して罪悪感を感じてしまうことも
出産後に“後悔しない選択”をするために
迷ったまま選択を先送りするのではなく、次のステップで“自分なりの選択肢”を整理することが重要です。
1. 価値観を言語化する:「何を大切にしたいか」を書き出してみましょう(例:子どもとの時間/キャリア/経済的安定)
2. 働き方・制度・支援環境をチェック:時短勤務、在宅勤務、保育環境、夫の協力など、出産後に使える制度や仕組みを把握する
3. 家族・パートナーと話し合う:期待する役割・家事・育児の分担を明文化しておくと摩擦が減ります
4. 小さな実験をする:例えば出産前に時短勤務を試してみるなど、“続ける”選択の感覚を掴む
5. 選び直し可能な設計にする:「この1年だけ」「子どもが小学校入学まで」といった区切りをつけて選択すると、心理的にもラクです
まとめ
出産後に仕事を続けるか辞めるかという選択は、正解が一つではありません。社会の変化、制度の改善、そして何よりあなたと家族の価値観・環境が重なって決まるものです。統計が示すように、「続ける」ことも「辞める」ことも、決して特殊な選択肢ではなくなりつつあります。
迷っていい、立ち止まって考えていい――その選択のために、リアルな体験やアイデアが詰まったメディアを活用しましょう。
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