「子どもを持ちたい。でも本当にこのタイミングでいいのか?」
「仕事もキャリアも大事。でも出産・育児を重ねるとどうなる?」
こうした迷いを抱える20〜30代女性にこそ、知っておいてほしい現実があります。本記事では、出産を迷う背景と、出産後の仕事との両立という現実を整理し、自分なりの判断につなげるための視点を提示します。
出産を迷う理由
多くの女性が「出産=人生の大きな選択」と感じる背景には、以下のような理由があります。
◼ 経済的な不安
-
「子どもを持たない/持てない」理由として、18〜45歳女性のうち約39.7%が「経済的に不安がある」と回答しています。(参照元:子どもを持たない理由「経済的不安」トップ)
-
また、「子どもを産み育てやすいと思わない」と回答した割合が61.1%にのぼる調査もあります。(参照元:子育てに関する当事者の意識・声(意識調査等から)出産・育児には長期的なコスト(教育費・保育費・時間)がかかるため、「本当に今この状態で大丈夫か」と迷う要因になります。
◼ 仕事・キャリアとの兼ね合い
「出産したらキャリアが止まるかも」という不安が、迷いを生む大きな理由になっています。
-
国内調査では、「結婚し、子どもを持つが、仕事も続ける」という「仕事と育児の両立コース」を望む女性は34%に達した一方、実際に「両立できる予想」と答えた女性は28%にとどまっています。(参照元:マイナビ キャリアリサーチLab キャリア継続の障壁 第1子出産の壁)
-
出産・育児を機に女性の就業継続が阻まれる実態も根強く、例えば「第1子出産前後に就業継続した女性の割合」は過去に約53%程度でした。(参照元:内閣府男女共同参画局 「第1子出産前後の女性の継続就業率」及び出産・育児と女性の就業状況について)
◼ 制度・環境・価値観の変化
社会全体の構造・環境が変化する中で、「子どもを持つ=リスクを伴う選択」という認識が広がっています。
-
少子化が進む中、若年層では「いずれ結婚・子どもを持ちたいとは思わない」という人も増えており、Z世代では「将来結婚も子どももいらない」と答えた割合が36.1%にのぼっています。(参照元:Z世代の約2人に1人が「子どもがほしくない」と回答。「お金の問題」以外の理由とは?【BIGLOBE調べ】)
-
「仕事と子育ての両立が難しい」「育児環境が整っていない」と感じる声も多く、実際にワーキングマザーの9割以上が「両立に困難を感じている」との調査もあります。(参照元:「女性の仕事と子育ての両立に関する調査」を実施。)
出産後の現実
出産を決める上で知っておきたいのが、「出産後の仕事人生」です。具体的なデータをもとに、どんな道があるか、どんな壁があるかを整理します。
◼ 継続就業の現状
-
最新の調査で「第1子出産前後に就業を継続した女性」は約70%に近づいています。(参照元:厚生労働省 第一子出産前後の妻の継続就業率・育児休業利用状況)出産しても働き続ける女性は増えており、制度の普及などが後押ししています。
-
ただし、雇用形態別で見れば正社員と非正規では継続率に大きな差があります。例えば、正規の職員で継続率が高い一方、非正規では低水準に留まっています。(参照元:内閣府 男女共同参画局 仕事と子育ての両立の状況)「働き続けられそうか」「どれくらい働けるか」というキャリア条件を整理することが重要です。
◼ 両立のハードル
-
「仕事と子育ての両立に困難を感じる」ワーママは92%を超え、66.5%が「将来のキャリアプランが描けない」と回答しています。(参照元:「女性の仕事と子育ての両立に関する調査」を実施。)
-
また、休暇取得・上司・同僚の理解など「制度があっても活用できるか」という点において、ハードルが高いことも複数の調査で示されています。(参照元:女性の仕事と子育てに関する調査)「制度がある」が「自分に使いやすい」にはならない現実があります。
◼ 働き方・環境による差
-
子どもが6歳未満の女性の就業率は、海外諸国と比べても低く、仕事継続における国内環境の課題が浮かび上がっています。(参照元:内閣府 第3章 女性の就業と出生を巡る課題と対応 第1節)
-
家事・育児時間における男女差も大きく、出産・育児期に女性側の負担が重くなる傾向があります。(参照元:一般社団法人育児キャリアアップ推進機構 働く育児女性を取り巻く社会課題)出産後の働き方を考えるとき、「パートナー・職場・制度・時間配分」などの条件が整っているかがカギになります。
出産を迷ったときに押さえておきたい視点
出産を「迷っている」という状態であれば、以下のような視点をもって向き合うと、よりクリアに判断できます。
自分の価値観を明確にする
「どういう人生を送りたいか」「どのタイミングで母となりたいか」など、自分の価値観を言語化してみましょう。価値観と現実のギャップを見える化することで、迷いの原因が整理されます。
キャリア・働き方の条件を整理する
-
雇用形態:正社員/契約社員/パート
-
勤務時間・時差・在宅制度の有無
-
パートナーの育児・家事参加度
これらを一つずつチェックし、「出産後も働き続けた場合の働き方」をイメージしておくことが大切です。
リスク許容度を考える
出産・育児には「時間の消費」「体力・気力の負担」「キャリア遅れ」「収入減」などのリスクがあります。それを「どれくらい許容できるか」を事前に見積もっておきましょう。
自分だけに背負わない仕組みを作る
出産・育児を個人の努力だけで乗り切ろうとすると、無理が出やすいです。職場の制度、家族・パートナーの協力、地域の支援を活用できるかを確認しましょう。
「今やること」と「将来やること」を区別する
例えば、「産む前にスキルをもう一段上げておく」「貯金を増やしておく」「パートナーと家事分担を約束しておく」など、出産前にできる準備をリスト化しましょう。
出産後の働き方も、“戻る/変える/新しく作る”といった選択肢を用意しておくと安心です。
まとめ
出産を迷うというのは、もはや“迷うべきではない”からではなく、“選択肢が増えたから”とも言えます。
キャリアも結婚も子どもも、自分にとって何が価値あるかを考えながら、「条件を整えられるか」「両立できる仕組みを持てるか」を見極めていくことが、今の時代の子どもを持つ/持たないの判断です。
あなた自身が納得できる選択肢を、少しでもクリアに描けるようになれば、迷いそのものが前に進むための一歩になります。





