「もっと稼がなきゃ」「年収を上げなきゃ」そんな思いが常に頭をよぎる方へ。実は、収入と幸福感の関係には、思っている以上に“曲線”があります。本記事では、OECD(経済協力開発機構)や各種研究のデータをもとに、稼ぐこと=幸福につながるかどうかを再検討します。

「収入が上がれば幸福が上がる」わけではない

まず初めに。年収を上げることは幸福の必要条件かもしれないが、十分条件ではないというデータがあります。

これらを総合すると、「年収を上げることは幸福の必要条件かもしれないが、十分条件ではない」という構図が浮かび上がります。

幸福の定義はお金ではなくメンタル

なぜ、収入がある程度まで増えても幸福感があがらないのでしょうか?その背景には、次のような構造があります。

  • 物質的な安心(住まい・暮らし・生活基盤)が整うと、収入増のインパクトが相対的に小さくなる。

  • 人とのつながり・自由な選択・健康・時間といった「非物質的価値」が幸福に寄与する割合が高い。たとえば、OECDによる「What matters the most to people?」という調査では、自由に選べること・健康であること・社会的つながりが幸福に大きく影響する要因とされています。(参照元:OECD What matters the most to people?

  • 世代・国・文化によって「豊かさ」の捉え方が変化しており、「稼ぐこと=価値」という定義から脱却する動きも広がっています。

したがって、収入を増やすこと自体を目的化するのではなく、「そのお金で何を実現したいか」「どんな時間を得たいか」を問い直すことが、次のステージに進むための鍵となります。

「稼ぐ目的」を再定義するための3つの問い

ここからは、読者が自身の「お金と幸福」の関係を見直すためのセルフリフレクションとして、次の3つの問いをご提示します。

問い①:この年収が上がったとき、真っ先に変えたいこと/手に入れたいものは何か?
→ 例えば「家を買いたい」「旅行に行きたい」「時間を増やしたい」など。目的が明確であれば、収入増が手段になります。

問い②:もし年収が変わらなかったとしても、今と同じ“幸福”を感じられるか?
→ 収入によらない幸福軸(人間関係、趣味、自己成長など)を扱う視点になります。

問い③:収入を増やすために、何を“犠牲”にしているか?その犠牲を払ってまで得たい価値は何か?
→ 長時間労働・健康・人間関係・自由時間など、トレードオフを可視化することで「稼ぐこと」に伴う代償を理解できます。

まとめ

稼ぐこと自体は、否定されるものではありません。むしろ、それによって得られる安心感・選択肢・自由は確かに価値があります。

しかし、「もっと稼がなきゃ」という思いが焦り・疲れに変わっているのであれば、是非「何のために稼ぐのか」を問い直してみてください。

データが示すように、収入が幸福を無限に保証するわけではなく、ある一定を超えると“別の価値”が幸福感を支える土台になります。

あなたのお金は、あなたの人生の“何を支えているか”。その問いを、今この瞬間、立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。