「安定したい。でも、挑戦したい。」
この揺れを感じている20代の若手は少なくありません。新卒・第二新卒の段階で、どの道を取るか。大企業で腰を据えるか、スタートアップで飛び込むか、フリーランスとして自由を追うか。答えが見えない中で、焦りや迷いを抱えながらキャリアを選んでいく。
近年の調査データも、若い世代が“安定”を重視する傾向を明らかにしています。例えば、就職活動において「もう一度就活をするなら“安定”を優先する」と答えた人は20代で61.7%にのぼります。(参照元:Job 総研『2025 年 理想の就活実態調査』を実施 給与重視 6 割 若年で変わる価値観 物価高受け安定思考へ)
また、若者の働き方意識を探った調査では、「安定した環境に身を置き、長く堅実に働きたい」という回答が多く、「大きな仕事に挑戦したい」「困難な仕事を選びたい」といった挑戦志向の回答は少数だったことも明らかになっています。(参照元:【2025年最新】最近の若者の仕事・働き方に対する意識や価値観)
つまり、20代にとって「安定か、挑戦か」の選択は、個人的な価値観とともに社会・経済環境の影響を大きく受けていると言えます。では、この揺れをどう受け止め、どう自分なりに納得のいく選択をしていけば良いのでしょうか。以下の3段構成で探っていきます。
若者が「安定」を選ぶ背景
まずはデータから、今の20代のキャリア意識を整理しておきましょう。
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就活経験者を対象に「もう一度就活をするなら“安定”か“挑戦”か」を聞いたアンケートで、20代では「安定派」が61.7%と最多でした。(参照元:Job 総研『2025 年 理想の就活実態調査』を実施 給与重視 6 割 若年で変わる価値観 物価高受け安定思考へ)
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若者の働き方意識調査では、「安定した環境に身を置いて、長く、堅実に働きたい」という価値観が強く、「組織を動かしてスケールの大きな仕事をしたい」「困難な仕事に挑みたい」という回答は少数派でした。(参照元:【2025年最新】最近の若者の仕事・働き方に対する意識や価値観)
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また、物価高や生活コストの上昇が、転職や働き方選択に「生活の安定を優先する」という影響を与えているという指摘もあります。(参照元:物価高で転職を考える人が急増中?理由や背景、人気の転職先を徹底解説)
これらのデータから読み取れるのは、挑戦を志す気持ちはあっても、現実的には「安定した基盤をまず確保したい」という価値観が20代の中で強まっているということです。
とはいえ、「挑戦したい」という声が消えたわけではありません。実際、20代の転職希望者では「未経験職種に挑戦したい」と答えた人が72%にのぼったという調査もあります。(参照元:20代転職希望者の9割は、未経験職種への興味あり。 8800人に聞いた「未経験職種へのチャレンジ」。)つまり、“安定”と“挑戦”は対立ではなく、“どちらも選びたい/どちらを優先すべきか悩んでいる”という状態が今の20代のキャリア選択を象徴しているのです。
大企業・スタートアップ・フリーランス、それぞれの選択
※本稿では匿名化インタビューをもとに構成しています。
大企業を選んだAさん(25歳)
「新卒で大手メーカーに入社しました。理由は「安心できる環境」が欲しかったからです。物価も上がっているし、まずは基盤をつくりたかったです。入社後、残業や責任の重さに悩みましたが、3年目に自分の専門領域を持つことができて、『続けてよかった』と思える瞬間が来ました。正直、挑戦できる環境ではないと思っていたけれど、むしろ続ける覚悟を持ったことで自分の価値が磨かれたと感じています。」
スタートアップを選んだBさん(27歳)
「大学卒業後、ベンチャー企業に入社。『早く成長したい』『裁量を持って働きたい』と思ったからです。入社した1年目は、仕事量も不安定さも大きく、辞めたいと思ったこともあります。でも、『ここで経験を積めば、次のステージがきっと変わる』という思いと、チームの仲間と一緒に乗り越えたことで、今では自分自身で道をつくる力がついたと実感しています。挑戦を選んだことは正解とは言い切れないけれど、自分にとって意味のある時間だったと思います。」
フリーランスを選んだCさん(26歳)
「会社員で働いていた時、『このままでいいのか』と感じていました。自分のペースで、好きな仕事をして、人とのつながりを大事にしたい。という思いから独立しました。もちろん収入も不安定だし、雇用保険も厚生年金も自分で考えないといけない。でも、自分で選べるという自由と責任が、自分らしい働き方につながっていると感じています。安定ではなく“自分らしさ”を優先した選択でした。」
これら3つのケースから見えてくるのは、どの選択も“難しさ”を伴っており、“続ける覚悟”や“意味を見出す力”があって初めて「選んで良かった」と感じられるということです。
自分で納得できる選択肢を選ぶためのプロセス
選択をしてから「よかった」と思えるまでのプロセスには一定の共通パターンがあります。以下のように整理できます。
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不安・葛藤期
例えば「安定を選んだけど、挑戦がしたい」「挑戦を選んだけど収入が不安」という状態。ここでは、選ぶことへの恐れや埋もれる不安が強く出ます。 -
適応・試行期
選んだ道で「まず続けてみる」「やってみる」という段階。環境に慣れ、役割を見つけ、苦手を克服する。先の3ケースでも、この段階で覚悟が試されました。 -
定着・実感期
「この選択でよかった」と思える瞬間が来る。何かが蓄積され、価値が感じられるようになる。安定を選んだAさんが“専門領域を持った”と感じたのもこの段階です。 -
振り返り・転換期
人生・キャリアは静止ではなく動き続けるもの。選択が固定されるわけではありません。再び別の選択をするかどうかを考えることも、また選択のひとつです。
このプロセスを知っておくと、「今は不安だから間違ってる」という思い込みを減らせます。むしろ“揺れながらも進んでいる”という視点を持つことが重要です。
自身の選択を納得するための仕事探しを
最後に、あなた自身に向けて問いを投げます。
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今、働き方・キャリアに関して「安定を優先したい」気持ちがどれくらいありますか?
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挑戦を選んだとき、どんな覚悟や準備がありましたか?またはどんな不安がありますか?
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今の道を「続ける覚悟」があるとしたら、どんな意味を見出したいですか?
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選択をした後、「どこで“よかった”と感じられたか」を振り返れますか?
キャリアは「正解」ではなく、「選び方」と「続け方」で成り立ちます。安定を選んだから悪いわけでも、挑戦を選んだから正しいわけでもありません。
大切なのは、自分がその選択にどう向き合っているか。続ける覚悟を持ち、意味を見出し、自分軸で捉えることです。
20代という時間は、選び直す余白も、変化を試す余白もまだ残っています。だからこそ、今“どちらかしか選べない”と感じていても、安心してください。選んだ道が正しいかどうかは、後からわかるものです。
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